コンタクトレンズの歴史

多くの人に愛用されているコンタクトレンズですが、一般的に普及したのはここ数十年の間のことです。
 最初に作られたのはいつで、どんなものだったのでしょうか?

 コンタクトレンズの発想のもとになったのは、1508年にレオナルド・ダ・ビンチが行ったある実験だったといわれています。
彼は、コンタクトレンズを発明しようとしていたわけではありませんでした。
球状のガラスボウルの中に水を張り、目を開いたまま水の中に顔をつけ、ボウルの外を見てみたのです。
すると、裸眼でみるのとは物の形が違って見えたのだそうです。
現在のコンタクトレンズとは全く違いますが、水をレンズに見立てて、目の表面に接することで視力がよくなるという発想は現在のコンタクトレンズの先駆けであるといわれています。
その後、デカルト、ミューラーといった人たちが研究を重ね、1930年以降にガラス製のコンタクトレンズが発売され、日常的に使われるようになりました。
しかし、このガラス製のコンタクトを装着すると、硬いガラスで目をすっぽり覆ってしまうため、目への負担が大きく、長時間装着するには不向きでした。

レオナルド・ダ・ヴィンチの実験から約380年後の1887年頃には、オーゲン・フィック(A.Eugen Fick)というスイスの眼科医師が、最初ウサギの目で実験をし、ウサギがそれほど苦痛なくレンズをつけることができたことを確認し、次にガラス製の人間用のコンタクトレンズを作り、自分の目にはめる実験を行いました。
この実験結果を「Eine kontactbrille」という題で発表し、この題名の「kontactbrille」から「コンタクトレンズ」という名前が生まれたのです。  
しかし、眼の表面をすっぽり覆う固いガラスのレンズだったので、当然長い時間装用できるようなものではなかったのです。

その後、同じドイツのMullerがレンズの製作をカールツァイス社に依頼しました。
これが本格的なコンタクトレンズの歴史の幕開けといわれています。
しかし、当初は円錐角膜や強度乱視、無水晶体と、いった特殊眼の視力矯正を目的とした応用にとどまっていました。
1940年代にポリチルメタクリレートを素材とするハードコンタクトレンズ(PMMA)が開発されました。
この素材の登場により、ハードコンタクトレンズが一般に普及し始めたが、普及するにつれてハードコンタクトレンズの問題(装用になれるまで時間がかかる、一日の装用時間に限界があるなど)があきらかになってきた。 5.酸素透過性ハードコンタクトレンズの発展  ハードコンタクトレンズの問題の主原因は、角膜の代謝に必要な酸素を通さないことである為、1970年頃から酸素を透過するハードコンタクトレンズ(RGP)の開発がすすめられるようになりました。

1955年頃よりソフトコンタクトレンズの開発が進められました。
ソフトコンタクトレンズは材質的に水を含んで柔らかく、酸素透過性もあり、装用感も良いので、普及率が飛躍的に高まってきています。
また、1988年にアメリカFDAで使い捨てコンタクトレンズが認可され、日本でも1991年に認可されました。

今では夜間睡眠中も目に入れっぱなし可能なレンズ(連続装用)や、乱視用、遠近両用、カラーコンタクトレンズなど、様々なタイプのコンタクトレンズが開発、市販されています。

これからのコンタクトレンズは 安全性、正確で安定した視力矯正力、フリーメンテナンス、低コスト、そして何と言っても『気持ちの良い使用感』などが大きな課題です。  
そして将来的には『生体としての目に限りなく近い素材』でできており、取扱は簡単まさにバイオニックオーガゼイション「人工臓器」として身体の一部となっていくでしょう。  

★コンタクスレンズの歴史年表
1508年レオナルド・ダ・ヴィンチが視力矯正器具としてのコンタクトレンズのアイデアを考案
1887年オーゲン・フィックにより初のガラス製コンタクトレンズが作られる
1932年イギリスのインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(ICI)社により透明度の高いPMMAが開発され、同年、アメリカのロームアンドハース社によって市場に導入される
1936年アメリカの Obrig と Muller が PMMA をレンズに使用できることを実証
1937年ウイリアム・フェインブルームによりガラスとプラスチックの半合成レンズが作られる
1940年Obrig により全プラスチックのレンズが作られる
1948年アメリカの Touhy が PMMA を用いてハードタイプのコンタクトレンズの原型を作り出す
1949年名古屋大学の水谷豊博士が日本で初めて臨床試験に着手
1951年水谷、円錐角膜患者に対し、臨床的に成功を収める
1951年株式会社メニコン創業者田中恭一が日本初の角膜コンタクトレンズの実用化に成功
1960年代チェコスロバキア(当時)の科学者 オットー・ウィフテルレ(Otto Wichterle)によって、後にソフトコンタクトレンズの素材となるアクリル系ハイドロゲル (HEMA) が発明される
1970年頃RGP が登場
1971年アメリカのボシュロム社によって初めて製品化されたソフトコンタクトレンズが発売される
1988年アメリカのFDAが使い捨てコンタクトレンズを認可